「実は上水保育園の隣の東京家庭学校の壁面に十字架が描いてあることに気付いてな」
「なぜ十字架」
「【本校は、我が国近代社会事業史上の先覚者、留岡幸助により、キリスト教精神に基づいて、1899年に民営の感化院として創設された児童福祉施設です。】と学校のサイトに書いてあった。キリスト教精神は基本だったのだ」
「なるほど。しかし、いきなりここにキリスト教関係の施設とは唐突ではないか?」
「そうでもない。三蔦苑の江渡狄嶺もキリスト教関係と関連があったらしいし、上北沢方面と言えば賀川豊彦記念・松沢資料館もあってこれもキリスト教関係だ」
「松原~高井戸方面にキリスト教文化圏でもあったのかな」
「あったみたいだぞ。今でも教会などがあるし」
「そういう文化圏の中でこの学校も成立していると考えればしっくり来るわけだね」
「ちなみに、家庭学校は1935年に巣鴨から高井戸に移動している。1935年からここにあると考えられる」
「三蔦苑は?」
「三蔦苑は1913年開設だ。家庭学校の方が後から来たことになる」
「三蔦苑に集まる文化人の支援を当てにしてのことかな」
「さあ。そこまでは分からない」